使用済みのプラスチックの容器や包装を「容器包装プラスチック」に分別して「資源ごみ」として捨てることにより、ごみがリサイクルされて、環境負荷が低減されていきます。その際、中身を使い切ったもののほんの少し残っていたり、汚れが付着していると、せっかく分別して捨てたのに、再利用製品の品質を低下させてしまうのです。
そこで今回は、容器包装プラスチックをできるだけ環境負荷を与えずにきれいに捨てるための方法ひと手間をご紹介します。
目次
ごみの60%は「容器」と「包装」
わが国では年間5,059万トン(平成16年度)ものごみが排出されています。そのうち、家庭から排出される生活系ごみは3,405万トンであり、この生活系ごみのうち「容器包装廃棄物」は容積比で約60%もの割合を占めています。こうした「容器包装廃棄物」を「資源」へと甦らせるために、平成7年6月「容器包装リサイクル法」が公布され、平成9年4月から施行されました。さらに、平成18年6月には、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進するために、同法の一部を改正する法律が公布されました。消費者、市町村、事業者すべての人々が、相互に密接に連携しつつ、それぞれの役割を担い、持続可能な省資源社会の構築に積極的に協力しましょう。
経済産業省パンフレット「容器包装リサイクル法 活かそう、「資源」に。」
容器包装プラスチックのリサイクル
容器包装プラスチックのリサイクルは、以下の3つの方法に分けられます。
・マテリアルリサイクル
・ケミカルリサイクル
・サーマルリサイクル
国は、持続可能性の高いマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを優先し、プラスチックを再び製品として利用することを目指しています。
マテリアルリサイクル
“マテリアル”は原材料を意味する言葉です。文字どおり、廃棄物を原材料として再利用することを指します。例えば、使用済みの缶を潰し、溶かし、再び固形化することで新たな缶製造の原材料としたり、おなじみのペットボトルは、粉砕して、加工処理を加えることで線維化させ、衣類の原材料となっています。このように限りある資源の再生循環を生みだし、有効に活用するマテリアルリサイクルは、私たちの生活において、もはや欠かせないものとなっています。
ケミカルリサイクル
廃棄物に化学的な処理をして原料に戻してからリサイクルすることです。石油から作られたプラスチックを再び油化、ガス化して化学原料としたり、燃料油やコークス炉の化学燃料として再利用する。畜産の汚物によるバイオガス化などがよく知られた例になります。
サーマルリサイクル
廃棄物を単に焼却処分するだけではなく、焼却した際に発生する熱エネルギーを回収し、利用するのがサーマルリサイクルです。“サーマル”という言葉は“熱による”を意味します。焼却時に排出された熱エネルギーは、主に発電や温浴施設、暖房設備の熱源として効率よく使用されます。
容器包装プラスチックをきれいにリサイクルするひと手間
汚れは、再利用製品の品質を低下させる原因となり、リサイクルができません。そのため汚れが取れない容器包装プラスチックは、「資源ごみ」として収集されないのです。
そこで、容器包装プラスチックが「資源ごみ」として分別できるようにきれいに捨てるひと手間と以下のような方法があります。
チューブの容器
水で中を膨らませて、水を入れ、キャップをしてしばらく置きます。キャップをしたまま振って水を出すと、口にたまったものがきれいになります。
食用油の容器
使い終わったら、逆さまにして倒れないようにして2~3日立てて置きます。その後、油炒めなどをするときに、逆さまのままフライパンの上でキャップを外すと、1回分使えるだけの油がたまっています。その容器の口をぼろ布でベタベタしないようふき取りましょう。(洗剤を使わずにきれいになります)
マヨネーズの容器
口のところに指を入れて広げ、塩、コショウと酢を少々入れて、キャップをしてよく振ります。口のところに付いているマヨネーズがきれいに溶けていれば、美味しい「ドレッシング」が出来上がり。使い切ったら、水の中ですすげば簡単にきれいになります。
ケチャップの容器
使い終わったら、上記のマヨネーズで作った「ドレッシング」を、ケチャップの容器に移して、シェイクすると「オーロラドレッシング」ができます。野菜サラダにかければ、美味しく使い切ることができます。
魚・肉・惣菜などのトレー容器
魚、肉、惣菜など、トレー入りの食品を買ってきた場合、調理台でラップをはがします。食品がついていた面を上にそのまま調理台に広げて、台ふきん、またはぼろ布で拭き取ります。このように拭き取るだけで臭いもなくきれいに出せます。
納豆の容器
納豆を器に移したら、食事が済むまで水に浸けておきます。食器を洗うときには、ヌルヌルがさっとゆすぐだけできれいになります。
容器包装プラスチックのマテリアルリサイクル後の製品
マテリアルリサイクルをすると以下のようなプラスチック製品になります。
- 食品・化粧品容器、玩具等
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:40%以上】
→ 弁当箱タイプトレー、化粧品容器、トランプ札 - フィルム製品
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:40%以上】
→ 包装用品、多層フィルム使用のファイル - 繊維製品
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】
→ 衣服、カーペット、テント - 機能性事務所用品等
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】
→ カセットテープカートリッジ、空気清浄器フィルター - 文房具
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:70%以上】
→ ボールペン、ファイル、ペントレー、写真 用ホルダー - 屋外家具・園芸用品
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:50%以上】
→ ベンチ、テーブル、植木鉢、柵 - その他家庭用品、建築構造用品等
【製品全重量に対する再生プラスチックの使用割合:70%以上】
→ 卵パック、バケツ、ごみ箱、ハンガー、簀の子、たわし、ソファー、ボード、アンカーピン
容器包装プラスチックを汚れたまま出さない。きれいにリサイクルするためのひと手間をご紹介!まとめ
容器包装プラスチックを効率的にリサイクルをするためには、国や自治体・企業だけでなく、私たち消費者の協力が必要不可欠です。リサイクルの仕組みや内容について正しい知識や理解を持ち、身近なところで、私たち一人ひとりにできることから始めていきましょう。