ごみ減量化の取り組みの「3R」はよく聞く言葉です。リデュース、リユース、リサイクルの3つが重要と言われています。リユースは、「繰り返し使う」「再使用する」といった意味で、限りある資源を大切に使い、廃棄物を減らすことで自然環境への負担を抑えるための取り組みのひとつです。
そこで今回は、限りある資源を大切に使い、廃棄物を減らすリユースをご紹介します。
目次
ごみの排出量と処分の現状は?
日本では高度経済成長以降、多くのごみを排出してきました。これは大量生産・大量消費の慣習が根付き、使い捨ての文化ができあがったためです。私たちの生活は、この慣習と文化によって豊かになりましたが、環境にとっては大きな負担を与えることになりました。
私たちの生活から出るごみは「一般廃棄物」という分類になりますが、2011年から一般廃棄物の排出及び処理状況についての調査が行われています。この調査によるとごみの排出量は、4,289万トン(2017年)であり、東京ドーム約115杯分もの量が排出されていることが分かりました。これは1人1日あたり920gのごみを排出していることになります。しかし、これでも同調査の結果としては少しずつ減少しています。
ごみの焼却施設数についても1,120施設から1,103施設に減少し、ごみの焼却熱を利用した発電設備を有するごみ焼却施設数が増加したことで、総発電電力量も増加しています。ごみの排出量及び廃棄について好転が見られるものの、最終処分場については、残余容量は増加し、処分場の確保は引き続き厳しい状況を強いられています。
ごみの排出と処分が環境に大きな負担となる
なぜごみの排出と処分が問題になるのか、それはごみそのものが環境に大きな負担となるためです。そもそもごみとなるものは元々私たちが生活の中などで利用するために購入した製品そのものや製品を梱包していた袋や箱といった様々なものになります。これらは天然資源を元に作られているものが大半ですが、資源は無限ではなく有限であり、自然から生み出されたものです。天然資源を消費し続ければ自然環境のバランスが崩れ、生態系を破壊してしまう恐れもあります。
また製造からごみとして処理するまでには多くの二酸化炭素を排出することになります。二酸化炭素は温室効果ガスであり、地球温暖化や気候変動を促進・悪化させる要因になります。さらに焼却処分を行った残りは最終処分場へ送られ埋め立てられますが、既に埋め立て場所を確保するのが難しいほど多くのごみが出ており、埋め立てられることでその土地は汚染される可能性が高くなります。つまりごみの排出を減らすことが、地球温暖化を含む様々な環境への負担を低減することにつながります。
行政ではそのための政策をいくつも行っていますが、私たちの生活の中からごみが発生する以上、私たちのできるごみの排出削減活動をしなければいけません。その取り組みの1つが「3つのR」です。この3つのRは3R(スリーアール)とも言われ、リデュース、リユース、リサイクルの3つをまとめたものになります。
リユースとリサイクルの違いとは?
3Rであるリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)ですが、それぞれ私たちのできることは違います。この中でもごみの排出削減で最も優先されるのはリデュースです。リデュースはそもそもごみとなるものを減らす発生抑制を目的としています。はじめからごみとなるものを購入したり、持参したりしないよう心がけることを謳っています。
例えば買物に行くときにはエコバックやマイバックを持参し、レジ袋を断ることが取り組みとして挙げられます。またこの効果を狙って、日本では2020年7月1日からレジ袋有料化がスタートしました。これはレジ袋の使用抑制及びごみとしての排出、私たちの環境への意識を高めることを目的としています。
このようにリデュースはごみをできるだけ生み出さないという取り組みを行いますが、それでもごみとなるものは出てきます。そこで次に行う取り組みがリユースとリサイクルになります。
リユースとは
リユースは私たちが生活の中で必要とし、購入した物を大切にして、すぐには捨てず、繰り返し使う再使用を目的とした取り組みです。使い捨てが当たり前となってしまった現代において、意識を変え、いらなくなったらすぐに捨てるのではなく、もう一度使えないか、別のことに使えないか再考して、資源の無駄遣いを減らすようにします。
例えば壊れたものであってもすぐに捨てるのではなく、修理や交換などを行って使うことが挙げられます。あるいはシャンプーやボディソープのボトルは、詰め替え製品を購入して、ボトルは洗って何度も使うことも1つの取り組みです。他にもリユースボトルやリターナブルびんなど繰り返し使える容器を利用するのもリユースとしての活動になります。必要なものを使い終わったからといって廃棄するのではなく、長く使い続け、多くの物を製造・消費し、ごみとして排出するサイクルを抑制する狙いがあります。
リサイクルとは
リサイクルは、ごみとして排出される物の中で、もう一度資源として生かし、同類の製品あるいは違う製品の素材として利用する再生利用することを意味します。
例えば新聞や雑誌、段ボールなどはリサイクルすることでトイレットペーパーに再生利用することができます。またペットボトルは、ボールペンやTシャツに、プラマークが付いているプラスチック製容器包装は、工業用プラスチック製品として生まれ変わります。
リユースからリサイクルへ
リユースとリサイクルは根本的に取り組む内容が異なります。リユースは繰り返し使うことで物を大切にするのに対して、リサイクルはごみとなった物を再生利用することが目的です。またこの2つは取り組みの中で、私たちに置かれた比重が違います。リユースとリデュースは、私たちの心がけによって行われるものです。
ごみの発生抑制を行うリデュースは、ごみとなる物をできるだけ買わない、持参しないことを心がけることです。これは私たちの行動で変わりますし、リユースの意味である再使用は生活の中で何度も使える物を認識し、捨てずに大切に使い続けることで維持されます。
それに対してリサイクルは、どうしてもごみとなってしまうものを正しく分別し、再生利用できるものを施設に送り出します。リサイクルにおいて私たちができるのは、ごみとなった物をリサイクルできるように分別して出すことに留まります。分別したごみはリサイクル業者によって、いくつもの工程を経て、新しい資源として生まれ変わり利用されます。つまりリサイクルにおいて私たちができるのは、分別までです。もちろん正しく分別することも大切な取り組みではありますが、その先は業者に委ねるしかありません。またリサイクルへの意識が全員に根付いていればい良いですが、すべてにおいてリサイクルを行えているわけではありません。リサイクルは最終手段であり、その手前であるリデュースやリユースが重要となるため、ごみの削減においては私たちが行う取り組みに比重が置かれているということです。
ごみの排出量を減らすためには、私たちの生活の中で意識しごみの排出を止めることが必須です。リデュースによりごみとなる物を減らし、生活の中で必要な物に関しても大切に繰り返し使い、すぐにごみとなることを防ぎますそれでもいずれは消耗し、廃棄しなければいけないときが来ます。そうなったとき、無作為にごみとするのではなく、分別してリサイクルに回すことで、さらにごみとなる物を減らせるということになります。
リユースと言われて最初に思いつくのは、身近で「欲しい」という人を探し出してその人に譲ることでしょう。そうした人がすぐに見つからない場合、「欲しい」という人が集まる店やイベントを利用してみましょう。
リユースにはどんな方法があるか?
リユースと言われて最初に思いつくのは、身近で「欲しい」という人を探し出してその人に譲ることでしょう。そうした人がすぐに見つからない場合、「欲しい」という人が集まる店やイベントを利用してみましょう。
(1)リユースショップを利用する
「リユースショップ」は、古物営業法にもとづいて中古品などの買取り・販売を行う事業者(古物商)で、「リサイクルショップ」などと呼ばれることもあります。買取りは、店頭での買取りのほか、自宅などへの出張買取り、宅配買取りなど様々な形態があり、買い取った中古品の販売は、店頭販売やインターネット販売などの形態があります。
なお、古物商は、古物営業法にもとづいて都道府県公安委員会から許可を得ていることを、分かりやすく表示しなければなりません。正規の古物商ならば、店舗の見やすい場所やウェブサイトなどに、許可をした公安委員会の名称や許可証の番号などを掲示していますので、古物商選びの参考にしましょう。
(2)インターネットオークションを利用する
オークションサイトなどを通じて、個人間で取引する方法です。
オークションサイトの決まりによりますが、おおむね出品者が出品物の写真や簡単な説明、最低入札価格などをオークションサイト上で公開し、それを見て購入を希望する人が値を付けます。希望者が多い場合は競争となって入札価格が上がることがあり、最高価格を付けた人に落札されます。落札されたら、出品者と落札者で発送方法や支払方法などを確認し、品物の発送や支払が行われます。最近は、携帯電話のアプリを用いたオークションも行われています。
インターネットオークションには、日本全国さらには世界各国からもアクセスできますので、ごく少数の人しか欲しがらないような品物でも、買い手がみつかることがありますし、場合によってはリユースショップの買取り価格より高値で売れることがあります。
ただし、落札手数料などの費用がかかることと、落札後に売買する双方が顔を合わせることがないため、送った品物の受け取りに問題があったり支払が守られなかったりするなどのトラブルが起きたときに、解決が難しいことがあるなどの欠点もあります。
なお、オークションサイトで買う場合は、出品者の出品履歴や落札者からの評価などが公開されていますので、そうした情報が出品者選びの参考になります。
(3)フリーマーケットやバザーなどを利用する
フリーマーケット(フリマ)は、イベントとして公園などの公共施設で開かれることが多く、主催者などに申し込んで出店して売りたい品を並べ、買い手を見つける方法です。
基本的には個人間での売買となりますので、売上代金は自分のもとに入ります。なお、出店するために出店料が必要になることが多いようです。主催・運営は、地方自治体のほか、民間団体が行うものもあります。
最近では、公園や広場で開催されるだけでなく、インターネット上で開催される「ネットフリマ」や携帯電話のアプリ上で取引できる「フリマアプリ」も登場し、市場規模が大きく伸びてきています。
バザーは、学校などの資金集めや慈善事業などを目的として、使用済み製品等を持ち寄って販売し、販売で得たお金を寄附するものです。自分自身にお金は入りませんが、使用済み製品等を提供するだけで、自分が出店料などの費用をかけずに使用済み製品等をリユースすることができます。
(4)地方自治体などの使用済み製品等の交換の仕組みを利用する
地方自治体では、「リユースプラザ」や「リサイクル活動センター」などとして、住民から不用品を引き取り、リユース品として販売しているところがありますので、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。引取方法や販売・譲渡方法には様々な形態があります。また、自治体の広報誌や公共施設の掲示板などを利用して、住民間の使用済み製品等の交換を促す仕組みを設けている自治体もあります。
リユースできないときは?
家電や小型家電などは、市区町村のルールに従って処分しましょう。
リユースショップで買取りできなかったものを、リユースショップに廃棄物として引き取ってもらうことは原則としてできません。家庭から排出される廃棄物を引き取って処理するには、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可が必要です。許可を持たないリユースショップでは、原則として、廃棄物の引取り・処分はできませんので、買取りできなかったものは自宅に持ち帰りましょう。ただし、「エアコン」「テレビ」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」の家電4品目については、そのリユースショップで買ったものである場合、または、そのリユースショップで買替えをして以前のものを廃棄する場合は、家電リサイクル法にもとづいて引き取ってもらうことができます。
どうしてもリユースできなかったものは、お住まいの市区町村のルールに従って適切に処分しましょう。
まだ使える使用済み製品等を活かす取組!「リユース」とは?まとめ
リユースは、まさに「もったいない」という言葉を体現した取り組みです。もったいない精神を持ち続け、積極的にリユースを進めましょう。同時に、限りある資源についても「もったいない」という意識を持つことが重要です。地球と私たちの未来のため、再生可能エネルギーを積極的に選ぶことが求められています。一歩一歩進んでいきましょう。