「SDGs」をご存じでしょうか。世界各国が持続可能な開発を目指すために国連サミットで取り決めを行なったSDGsのいくつかある課題のなかに「ごみ問題」があります。世界中では毎日大量のごみが出ており、環境問題など多くの課題を抱えているのです。
そこで今回は、今回は世界のごみ問題について、現状、世界の国々の対応をご紹介します。
目次
世界のごみ排出量
ごみの排出量は、各国の人口や面積などさまざまなデータに基づいて発表されています。2019年、イギリスのリスク分析会社が発表したデータによると、世界194か国で毎年排出されるごみの量は約21億トンで、そのうちの約16%しかリサイクルされていません。
ごみの排出量世界第1位は中国で、全体の約15.5%を占めています。次いでインド、アメリカとなり、日本は8位で全体の約2%を占めています。中国とインドは人口の多さとごみの量が比例していますが、アメリカは世界の総人口に対する国民の割合が約4%なのに対し、世界のごみの総排出量の12%ものごみを排出しています。これは、アメリカの国民一人当たりのごみ排出量が非常に高いことを示しており、世界平均の3倍の量となります。アメリカのごみの量が多い理由は、リサイクルの遅れが原因だとされています。
2025年における総発生量・ごみ組成質の予測
高所得国は、将来的に見てごみ量がほぼ変化しないと予想されている。その理由はごみの発生を抑制する対策(3Rなど)が進むから。
国の所得レベルによる違いはごみ質に表れている。低所得国になるほど有機物の割合が大きくなる。
2025年における161か国の所得別ごみ総発生量・ごみ組成質の予測
国民一人あたりの所得に対するごみの発生量
美品で不具合などがなければネットオークションやフリマアプリを使ってして売却する方法もあります。傷や汚れがあれば落札価格も安くなりますが、利用者との直接売買になるため、リサイクルショップよりも高く売れる可能性があります。
国民一人あたりの所得に対するごみの発生量
地域別のごみ収集率
ごみ収集率は先進国ではほぼ100%近くになる。一方、途上国の多い南アジア地域は65%、アフリカは46%と半分にも満たない。残りは街なかに勝手に投棄されたり、海や川などに流されていたりする。
地域別のごみ収集率
世界のごみ対策やリサイクル制度とは
国の事情によってゴミ対策をしなければならないために、それぞれの国によってごみ対策が行われています。そこでここではそれぞれの国の対策を紹介していきます。
スウェーデン
北欧の国々は「環境先進国」と呼ばれるほどごみ処理に対して制度が進んでいます。
スウェーデンのストックホルムではエコシティ地区が作られており、ごみの収集専門システムが整備され、緑に囲まれた下水処理場とバイオガス生産工場があります。生ごみと下水処理過程で発生する下水汚泥を原料としてバイオガスを精製し、燃料として利用しています。
このシステムを稼働させることで国民が出す96%をリサイクルに回ることに成功しています。この稼働がスムーズにいっているために可燃ごみを他国から輸入しているという国でもあるのです。
アメリカ(サンフランシスコ市)
アメリカのサンフランシスコ市では2020年までにゼロウェイストを目指しており、「4R’s(Reduce、Reuse、Recycle、Rot)」を進めています。
Reduce(リデュース):サンフランシスコ市では2014年に公共の場所でのペットボトルの販売が禁止されています。
Reuse(リユース):ここではごみを芸術に仕上げるという取り組みが行われています。
Recycle(リサイクル):ペットボトルや缶、ガラス、紙などの資源はリサイクルにより新たな製品に生まれ変わります。
Rot(ロット):Rotは「腐る」という意味があり、生ごみを肥料にして土に返すことを表します。
シンガポール
シンガポールは非常に国土が狭い国であり、地理的な問題からも多くの国の企業が進出し、人気の観光地でもあります。そういった理由で急激に経済が発展したということもあり、1970年には1日あたり1,260トンだったごみが2014年には1日あたり8,338トンにまで増加しました。
そのためごみ管理については非常に活発に取り組まれています。また、ごみのポイ捨てやタバコ、ガムなどを道路に捨てると高額な罰金が科せられるなど厳しい罰則があります。
ドイツ(ハノーファー市)
ドイツでは「循環経済法」が制定されており環境問題に熱心に取り組んでいます。
製造者に対し、使い捨て容器には高い税金が課せられています。その他、デポジット制が導入され、「ごみを作らない」ということが徹底されています。これは昔の日本のビール瓶などで使われていたシステムです。1000円のものを売るときに容器代も合わせて1200円で売り、容器を店に返せば200円返ってくるというもので、不法投棄を減らすのに高い効果があるとされています。
中国
中国では「環境保護部」「国家発展改革委員会」、「建設部」及び「各省・直轄市政府」などがそれぞれの権限に置いて固形廃棄物による環境汚染の防止および管理に関する責任を負っています。
2009年1月1日より施行されている循環経済促進法は、廃棄物の減量化及び再利用・再資源化について原則を提示しています。また、容器包装や家電製品(指定品目)について、個別のリサイクル法の整備が進んでいます。
ベトナム
ベトナムにおける廃棄物の処理・リサイクルは、1994年1月に施行された環境保護法(Law on Environmental Protection)を基本法としています。
さらにこの法律は2005年11月に改定され、リデュースやリユース、リサイクルを通じて排出者が廃棄を最小限にする責任が課されました。
さらに拡大生産者責任の考え方を導入しており、使用済みの乾電池やタイヤ、自然分解しない樹脂、梱包材などの回収、処理を生産者やサービス提供者が責任を負うことが記載されています。
トンガ
トンガでは廃棄物をリサイクルというシステムが整っておらずにそういったことを行う企業もほとんどありません。行政によるごみ収集も徹底はされておらず、ごみの処理は曖昧にされていました。
最近では日本などの支援によってコミュニティ単位でごみと金属類の分別回収が行われ、金属類はリサイクル業者に売却後に海外に輸出されるようになっています。
ケニア
ケニアでは経済の発展とともにごみが増加しています。ナイロビ市内にあるダンドラごみ処分場にはごみが集中的に集められています。
近年では生ごみをエサとする豚が放牧され、生ごみを処理しています。
世界でも深刻なごみ問題!現状、世界の国々の対応とは?まとめ
ごみの廃棄に対する問題は世界で深刻な状況であり、SDGsの目標にも横断的に関わっています。また、これらの問題を解決に向けて進めるには私たち一人ひとりの取り組みが重要です。
ごみは出たものを再資源化するということと、そもそも出さないということが重要です。これは誰でも身近なことからすぐに取り組みましょう。